グループホームあいあいえす
看護師 中島紀子

あなたはこの仕事に向いているよ。がんばって

小学校の頃から将来の夢は「介護の仕事」と決めていました。中学生のときから地元の特別養護老人ホームに時々ボランティアに行くようになりました。入所中の女性から「あなたはこの仕事に向いているよ。がんばって」というお手紙を頂いて、嬉しかったことを覚えています。高校卒業後の進路を決めるとき、介護を学ぶことができる学校に行きたかったのですが、介護福祉士という言葉が国家資格として確立していませんでした。そんな折、保健師の姉に、「看護の仕事を取得しておけば、介護の仕事がしやすい」という話を聞き、看護師の資格を取得しました。その後、子育てがひと段落し、そろそろしっかりとした仕事に就こうと思い、元来の希望の介護現場へ入りました。

ご利用者さんと一緒に幸せ探し

私達はご利用者さんと人生の残りの数ページしか関わることができません。グループホームに入所される方は、加齢とともに、身体機能も衰え、いろいろなことができなくなります。人生を諦めている方も多くいます。私達が関わることができる「残りの数ページ」を「楽しく過ごしてもらいたい」と常に考え、ご利用者さんと一緒に「幸せ探し」をしています。グループホームに入所される前は、認知症を発症したことで家族との関係が壊れてしまっている方もいらっしゃいます。ご家族の方からは(外出支援の際)、「家にいたら、こんな所に行くことはできなかった」「グループホームに入所してから、にこにこした表情、穏やかになった」等の言葉も頂くことがあり、時間の経過とともに関係性を回復することがあります。そして、関係性を取り戻し、「いいお母さん・お父さん」として最期を迎えられるよう努めています。

介護は、人間を成長させる

介護は、人間を成長させる時間。自分自身が考え方や視野を広げていくこと、自己の成長が求められる仕事です。ご利用者さんを支えながら自分自身も幸福な時間を送りたいと考え、ご利用者さんから元気をもらいながら仕事をしています。スタッフも様々な年齢の方がおり、それぞれの役割や得意分野を活かしながら仕事をしています。一見、ご利用者さんが弱者で介護職が手助けをするというイメージがありますが、ご利用者さんから毎日教えてもらうことばかりで、ご利用者さんを交えて家族のような関係です。家族といる時間よりも一緒に過ごす時間が長く、家で落ち込むことがあっても、仕事に行くとご利用者さんやスタッフから元気をもらえます。入所間もない頃、仕事に慣れず、落ち込む私を入所中のご利用者さんが「頑張りい」と言って頭を撫でてくださったこともありました。つい最近、その方の穏やかな最期をホームで看取りました。私はずっとその方の言葉と撫でてくれた手の感触を心に刻み、自分自身の励みにしています。

インタビュー 2015/2