認知症のお年寄りの徘徊行動については、どうして外に出たいのか理解することが大切

認知症の行動・心理症状(BPSD)の一つに『徘徊』が挙げられます。
認知症のお年寄りが、外に出たがることは必ずしも『徘徊』ではありませんが、そのようなケースを1例に当法人の認知症ケアの方針をご紹介します。

グループホームじゃんけんぽんでは開所以来、『外に出たい気持ち』に対しては無理に引き戻すことはせず、そのまま外出していただいてます。

そのあとを職員が気付かれないようについて行き、お年寄りの様子を見ながら、疲れた頃合を見計らって声をかけるという対応です。

最初はご近所の方々から批判のお声もありましたが、今では暖かく見守って頂き、時にはご協力をいただき、地域ぐるみの支え合いとなっています。
代替タイトル

認知症のお年寄りが出かける主な理由

  1. とにかくその施設から出たい
  2. 今まで住んでいた自分の家に帰りたい
  3. 過去に暮らしたことのある家、あるいは生活の場に戻りたい
  4. 認知症ではなく精神症状に因る場合

多いのは3つ目の理由です。つまり、現実には存在しない場所を探して歩き回るわけです。

そうしたお年寄りに『それは過去のことだ』と諭すのではなく、亡くなられたご家族の話を聞いたりしていくうちに信頼関係が生まれ、次第にご自分の帰る現実の場所が分かるようになります。

『徘徊』 というと、意味もなく歩き回ると思われがちですが、皆、目的を持って歩いているのです。

しかし、家族や施設はそれを無理にやめさせようとします。
転倒、骨折、迷子の危険性があるからです。
そのため、強い口調で叱ったり、出入り口を施錠したりして、本人の意思を拘束することがあります。そうした束縛を受けたお年寄りは反発し、周囲の人たちにも不信感を抱き、攻撃的になります。

ここではそうした束縛はしません。
車椅子もなるべく使わないようにしています。

転倒のリスクが増し職員は大変ですが、私たちは皆お年寄りが好きです。
ですからできるだけ個々人やご家族の意思を尊重し、自由に笑顔で暮らすことを大切にしています。