小規模多機能の家じゃんけんぽん国府・棟高
看護師 坂井 栄美

看護師の資格を活かせる場所が病院以外にもある

計画を立てて人生設計をすることが苦手なこともあり、高校卒業時に将来についてあまり考えていませんでした。看護師になりたいという友達の影響を受け、看護師を目指すことになり、専門学校卒業後病院や診療所等で看護師として仕事をしていました。子育てもあり病院を退職した際に、看護師の資格を活かせる場所が病院以外にあるということが分かり、介護の道を視野に入れるようになりました。お年寄りの介護の仕事も興味があったわけではありませんでしたが、じゃんけんぽんが自宅から近かったこともあり、見学に来て雰囲気を見て、「ここであれば仕事ができる」と思い、就職に至りました。

最期に過ごす場所が病院ではなく、在宅で良かった

介護の仕事は、自分より先を生きているご利用者さんと関わりながら、生きる姿を見させて頂いている感覚です。仕事という認識はあまりなく、老いていく過程で「できなくなってきたことが増えていく方のお手伝いをしている」それが結果的に仕事になっています。看取りでは、ご利用者さんとご家族との気持ちを大切にしています。私達はご利用者さんがその方らしく亡くなることができるように努めます。また、残されるご家族が「最期に過ごす場所が病院ではなく、在宅で良かった」と在宅を選んだことに後悔が残らないようご家族のケアにも力を入れています。病院ではできない、在宅だから叶えられることを大切にしています。病院だとお風呂に入ることができない方も、ここでは、ご家族の希望とご利用者さんの希望を第一優先に入浴をしたり、今月は3月ということもあり、お雛様を居室に飾ったりしながら、四季を楽しんだりと病院ではできないことを考えています。「ここを選んで良かった」と思ってもらえることは何だろうと考えながら仕事をしています。

介護は、認知症の有無に関わらず、人間対人間の仕事

私自身、病院で働いたこともありましたが、看護の仕事が好きになれずにいました。病院のイメージは、病気になった方が来る場所で、暗く、重いイメージがあり、死に対して恐怖感があり、その環境下で仕事をしていることに違和感を持っていました。しかし、介護の仕事では、それぞれ病気を抱えているご利用者さんも多いのですが、「生活」に視点が置かれているため、ご利用者さんと自分の日常が混ざりあい、居心地の良さを感じています。ここで看取りをすることもありましたが、自然に人が亡くなる姿を見て、死を受け入れられるようになった気がします。介護の仕事は、看護師の役割を果たす部分もありますが、「認知症の有無に関わらず、人間対人間の仕事」です。自分がされて嬉しいことは相手にも施し、自分がされて嫌だと感じることはしない。そのことを大切に仕事しています。

インタビュー 2015/3